40代で絶望した私へ|出向はリストラの始まりかもしれない

夕明けの朝日に向かって伸びる一本道のイラスト。絶望が、動き出す合図だった。辞めずに始める、次の一歩。

「40代で出向と職種転換を命じられ、目の前が真っ暗になった」——会社の都合で慣れた仕事を奪われ、まったく違う職場に立たされる。

リストラと言われたわけではないのに、これは「緩やかなリストラ」の始まりではないかと、ひとり不安を抱えてしまう。

私自身、当時44歳でこの様な経験をした。

間接業務から現場業務へ移され、勤務先まで変わり、絶望としか言えない感情を味わった。

それでも、ある気づきをきっかけに、私は動き出すことができた。

結論から言えば、今の会社に不満や不安があれば、在籍しながら転職活動を行うことをお勧めする。

この記事では、出向をなぜ「リストラの始まり」だと感じたのか、当時の絶望と、そこから私が動き出すまでの過程を正直に書く。

読み終えたとき、今の会社を辞めずにできる「次の一歩」が見えるはずだ。

目次

44歳で出向を命じられた日|絶望はそこから始まった

親会社が変わったあとに起きたことは前回の記事に書いたが、その変化はやがて、私自身の働き方にも及ぶことになった。

ある日の夕方、直属の上司に呼ばれて会議室に入った。

そこで伝えられたのが、出向の通達だった。

行き先は、これまでとはまったく違う職種だった。

これまで私は事務系の間接業務を担当してきたが、出向先では現場の直接業務に変わる。

勤務場所も変わり、2ヶ月後には新しい職場に移る。

最初に頭に浮かんだのは、「なぜ自分が」という言葉だった。

理由の説明は、ほとんどなかった。

私は一人暮らしのため、その日は誰に相談するでもなく、一人で考え込んだ。

44歳というこの年齢で、これまで積み上げてきた経歴がリセットされる

そう感じた。

2ヶ月の猶予期間、私は今後の会社員人生をどうするかをずっと考えていた。

ただ、この時点ではすぐに動かなかった。

まずは実際に新しい仕事をやってみて、それから動くかどうかを決めようと思った。

出向はリストラの始まりかもしれない|私がそう感じた理由

出向と言われても、すぐに「リストラ」と結びつけたわけではない。

ただ、自分の周りで起きていたことを並べていくうちに、そう考えるようになった。

このとき間接部門から直接部門へ移り、同じ請負会社へ出向したのは、私を含めて6名だった。

工場外の会社へ出向した人も合わせると、出向者は全体で20名ほど。

対象者は、だいたい40歳を超えていた。

出向には、大きく分けて2種類あると私は考えている。

  • 自分の専門性を伸ばすための前向きな出向。
  • 人員整理の意味合いを含んだ出向。

全く違う職種のため、自分の場合は「人員整理の意味合いを含んだ出向」だと考えた。

給料そのものは、籍のある親会社の基準のままであるが、昇給はベースアップだけになり、能力に応じた昇給はなくなった。

つまり、これから給料が伸びていく余地は、ほとんど断たれたことになる。

私の給料を実際に「出向元」か「出向先」のどちらが負担しているのかは、正確にはわからない。

出向先と親会社で分担しているのか、あるいは出向先がすべて負担しているのかもしれない。

一つだけ言えることは、出向は会社が負担する人件費を軽くできる仕組みである。

さらに、出向の先に「転籍」が続くこともある。

籍そのものが出向先へ移れば、出向元企業は人件費を恒久的に切り離せる。

これも特別なことではなく、私の会社でも過去に転籍した人がいると聞いた。

私は現在も出向のままで、転籍したわけではない。

会社がリストラを目的にしていたと、はっきり言われたわけでもない。

それでも、40代を超えた人員がまとまって直接部門へ移され、外部へ出向していく流れを目の前で見て、私はこう感じた。

これは、リストラの始まりなのかもしれない、と。

出向がリストラの始まりに思えた理由を示す図解
「出向」が、リストラの始まりに思えた理由

間接業務から直接業務へ|職種が変わった現場で直面した現実

出向先での仕事は、物流業務だった。

製品の入庫から梱包、発送までを担う。

これまで事務系の間接業務をしてきた私にとっては、初めての世界だった。

まず重量物を持つ作業が多いため、体に負担が生じた。

出向した時期が年度末の3月で、現場は一年でもっとも忙しい時期と重なった。

20kgを超える段ボールや製品を持つことも多く、一日中体を動かす仕事は、事務職時代には経験のないものだった。

実際、このときの負担が原因で腰を痛め、今も週に1度、整形外科に通っている

さらに、自宅から職場までは片道1時間30分かかる。

出向前は勤務先まで片道10分だったことを考えると、通勤だけでも生活が大きく変わった。

そして、今の業務はこれまでの事務の経験がほとんど活かせない。

長く積み上げてきたスキルが、新しい現場ではゼロからのスタートになる。

44歳でまた一からやり直すのは、想像していた以上に大変だった。

評価の面でも、現実を突きつけられた。

賞与は、籍のある親会社から受け取る。

しかし出向している自分は、親会社への直接の貢献度が低いと見なされ、査定は最低評価だった。

これは私だけではなく、出向者は全員が最低評価となる。

仕事の中身に関係なく、出向しているという立場そのものが評価に響く

その構造を知ったとき、改めて自分の置かれた状況を実感した。

一方で、意外だったこともある。

職場の人間関係は、思っていたより悪くなかった。

出向先は親会社の請負会社にあたるため、現場で働く人たちは、出向してきた私たちに必要以上に気を遣っているようにも見えた。

気まずさはあったが、人間関係で苦しむことは少なかった。

出向の次は転籍かもしれない|私が動き出した理由

出向先で働き始めてしばらくして、私は転職活動を始めた。

仕事の内容が嫌だったからではない。

転籍を恐れたからだった

私はあくまで、籍のあるB社の社員という立場で出向しているにすぎない。

出向先は、B社と請負契約を結び、B社から仕事を請け負っている別の会社だ。

だが、もしこの先転籍となれば、籍そのものがその出向先へ移る。

出向先の社員になるとはどういうことなのか。

同じ現場で働きながら、私はそれを間近で見ていた。

出向先の社員は、操業が増える時期には土日の出勤が多かった。

四半期の最終月、請負元であるB社の売上目標を達成するために、少なくとも土曜か日曜のどちらかは出勤していた。

私はB社の社員のままだったので土日出勤はほとんどなかったが、転籍すれば同じ働き方に組み込まれることになる。

待遇の面でも、見過ごせない差があった。

出向先の社員は、月給が私の籍のあるB社の水準より5万円ほど低い。

そのうえ、月給には「みなし残業」が月20時間分含まれていて、20時間までは残業代がつかない。

土日出勤や残業が多いことを考えれば、実際の労働に給料が見合っているとは思えなかった

転籍すれば、この働き方をしなければならない。

出向は、籍が元の会社に残っている状態だ。

だが、その先に転籍が続けば、出向先の働き方や給与体系となる。

出向を「リストラの始まり」だと感じていた私にとって、転籍はその次の段階に思えた。

だから私は、待つのではなく、自分から動くことにした。

当時よく調べていたのも、「40代 リストラ」ではなく「40代 転籍」という言葉だった。

出向中でも転職活動はできる。

その具体的な進め方は、出向中に転職活動はできる|40代半ばで動いた私の方法に書いた。

「転職」と「転職活動」は違う|動けなかった私が知ったこと

私が動き出すきっかけをくれたのは、B社で同じ部署にいた同僚だった。

その同僚も、売上目標に追われてプライベートが確保できない働き方に嫌気がさし、転職活動を始めていた。

仲が良かったこともあり、私は彼からよく話を聞かせてもらった。

彼がよく言っていたのが、「転職」と「転職活動」は違う、という言葉だった。

転職とは、今の会社を辞めて別の会社に移ること。

一方で転職活動とは、今の会社を辞めずに、在籍したまま自分の希望に合う会社を探すことだ。

辞めるかどうかは、探したあとで決めればいい

「転職」と「転職活動」の違いを示す図解
「転職」と「転職活動」は違う

在籍したまま動くという考え方は、辞めずに動く転職活動の始め方でも詳しく整理している。

この区別は、当時の私にとって大きかった。

それまで私は、会社に在籍しながら面接を受けるのは無理があると思い込んでいた。

面接は平日の日中に行われることが多く、その都度会社を休まなければならないと考えていたからだ。

だが、実際に話を聞くと、状況は変わっていた。

コロナ禍以降、転職活動の形は大きく変わり、WEB面接が当たり前になっていた。

WEB面接なら、定時後の時間でも調整しやすい。

エージェントの担当者によれば、40代の転職者の8割は、会社に在籍したまま面接を受けているという。

在籍しながらでも、活動はできる

それを知って、私はようやく動く決心がついた

最初にしたのは、転職サイトに登録し、自分のキャリアシートを書くことだった。

いきなり辞めるわけでも、面接を受けるわけでもない。

まずは、自分のこれまでを言葉にしてみる。

その一歩からだった。

どの転職サイトやエージェントから始めればいいか迷うなら、40代の転職で知っておきたい選択肢を先に見ておくといい。

ちなみに、私に「転職と転職活動は違う」と教えてくれたその同僚は、その後きちんと転職活動を終え、希望する会社へ移ってB社を去っていった。

まとめ|40代で絶望したあなたへ伝えたいこと

私は、転職活動を今は休止している。

出向先の人間関係は悪くなく、もう少し様子を見てから再開するかどうかを決めようと思ったからだ。

ただ、エージェントには登録は残したままで、連絡をすればすぐに活動を再開できる状態にしてある。

動こうと思えば、いつでも動ける

いつでも転職活動を開始できる状態でいられることが、今の私の安心につながっている。

40代や50代で「出向」や「職種転換」を経験すると、大きな不安に陥りやすい。

会社の都合で、これまでとはまったく違う場所に立たされる。

私自身、44歳でそれを経験し、絶望と呼ぶしかない感情を味わった。

それでも今、同じ立場の人に伝えたいのは、自分に合った生き方を見つけられるはずだ、ということだ。

40代を過ぎると、若い頃のように無理が効かなくなる。

体力は確実に衰える。

だからこそ、働き方や給料、人間関係に納得がいかないなら、一度立ち止まって考えてみてもいい

大切なのは、今の会社をすぐに辞める必要はない、ということだ。

まずは転職活動を行い、自分の条件に合う会社があるかどうかを調べてみる。

調べた結果、本当に合う会社が見つかれば、そのときに会社を退職するかを決めればいい。

見つからなければ、今の場所に留まるという選択で良いと思う。

残りの人生は、限られている。

会社の都合に流されるだけでなく、自分の意思で選び取る時間を、少しでも増やしてほしい。

悔いのない時間を過ごすために、できることはある。

私が会社員として経験してきた組織変更は、これで3度目になる。

その全体像は、動けないまま組織変更を3回経験した話に書いてあるので、目を通してもらえたらと思う。

いーしげ
氷河期世代として、非正規雇用や一人老後の不安と向き合ってきました。

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