口座の残高は見えているのに、そのうちいくら使っていいのかは分からない。
貯金を続けたいのに、気づけば取り崩している。
使いすぎても、指摘してくれる人はいません。
一人分の家計をひとりで守っていると、こうした引っかかりに覚えはないでしょうか。
その状態から抜け出すには、頑張りを増やすより、口座の仕組みを変えるほうが現実的です。
私が使っているのは、住信SBIネット銀行(現・ドコモSMTBネット銀行)の目的別口座。
ひとつの口座の中に、お金の置き場所を分けて作れる機能です。
貯金は、意思の力ではなく仕組みで守る。
私は2025年8月の口座開設から1年、商号変更をまたいで同じ3枠のまま使い続けてきました。
この記事では、3枠の中身、途中で設計を見直した経緯、使って分かったデメリットまでを実例だけで書きます。
読み終える頃には、自分の家計に目的別口座が要るかどうか、判断できるはずです。
目的別口座とは?仕組みを図解でおさらい
目的別口座は、ひとつの銀行口座の中に、お金の置き場所を分けて作れる機能です。
ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)では、取引の基本になる代表口座とは別に、最大10個まで無料で作れます。
それぞれに「旅行用」「税金用」と名前を付け、代表口座から毎月決まった額を自動で移す定額自動振替も設定できます。

もうひとつの特徴は、目的別口座からATMや振込で直接お金を出せないことです。
使うときは、いったん代表口座へ振り替えます。
不便に見えるこの制約が、実は貯金の守りとして効きます。
目的別口座は、貯金箱を10個持てる機能というより、「すぐ使えないお金」を作れる機能です。
住信SBIネット銀行の目的別口座を1年使う私の実例
私が目的別口座を始めたのは2025年8月、住信SBIネット銀行(当時)の口座開設と同時です。
開設からちょうど1年、商号変更をまたいで同じ設定のまま使い続けています。
開設のきっかけ
それまでは、別の銀行の普通預金ひとつに、生活費も貯金も入れたままでした。
残高という数字はひとつしかなく、そのうちいくらが「使っていいお金」なのかは、自分の記憶が頼りです。
いーしげ残高は見えるのに、使っていい額が分からない
変わるきっかけは、老後を見据えてお金の勉強を始めたことでした。
ひとりで老後を迎える前提に立つなら、自分の家計は自分で見えるようにしておきたい。
そう考えて情報を集めるうちに、家計管理系のYouTube動画で目的別口座を知りました。
一人暮らしの家計には、使いすぎを指摘してくれる同居人がいません。
気づく人が自分しかいないなら、気づく仕事を口座に任せたほうが確実です。
口座の側に「使っていいお金」と「触らないお金」の線を引かせる。
そう決めて、口座開設と同時に目的別口座を作りました。
私の3枠:生活防衛資金・特別費・投資用資金
枠は3つに絞っています。
- 生活防衛資金:生活費1年分を置く枠。病気や失業で収入が止まっても、立て直す時間を確保するためのお金
- 特別費:自動車税や自動車保険料、タイヤ交換など、毎月ではないけれど必ず来る支出のための枠
- 投資用資金:相場が大きく下がったときに買い増すための待機資金を置く枠


運用してみると、枠ごとに動き方がまるで違います。
生活防衛資金は、この1年で一度も動かしていません。
会社員なら、失業しても生活費6ヶ月分あれば立て直せると考えていますが、頼れる同居人がいない前提で、私は余裕を見て1年分にしています。
生活防衛資金を半年分から1年分にした理由は、独身の生活防衛資金はいくら?頼れる人がいない私が1年分にした理由に書いています。
動かさないための枠なので、出番がないのが正常です。
特別費は、年に何度か代表口座へ戻して使いました。
自動車税、自動車保険料、夏用と冬用のタイヤ交換。
一人分の特別費は範囲が限られているので、何にいくら備えるかの把握もしやすい支出です。
今は来年4月の車検に向けて、この枠で車検費用を貯めています。
投資用資金は、毎月のNISA積立とは別のお金です。
オルカンやS&P500が直近の最高値から約20%下がったら、この枠の約10%を目安に買い増す。
そう自分でルールを決めていますが、この1年は出番がなく、一度も動かしていません。
あくまで私個人のルールで、成果を保証するものではありませんし、特定の商品をすすめる意図もありません。
ただ、動かす条件を先に決めてあると、下落のニュースを見てから慌てて考えずに済みます。


各枠にいくら入っているかは書きませんが、金額よりも、枠が分かれていること自体に意味がありました。
以前は「なんとなく貯まっている」だけだった残高が、今はアプリを開けば「守るお金」「使う予定のお金」「増やすお金」という別々の数字で見えます。
枠を分けた時点で、家計の見通しは、金額を増やさなくても良くなりました。
目的別口座の使い方を1年で見直した:目標額固定型からフロー型へ
3枠のうち、1年の間に設計を変えたのは特別費だけです。
生活防衛資金と投資用資金は開設時のまま。
ここでは、その特別費で何があったかを書きます。
開設当初、特別費の枠は「目標額固定型」でした。
数十万円規模の目標額を設定し、毎月の入金額を目標との差から逆算して決める方式です。



今月はいくら入れれば足りるんだっけ
これが数ヶ月で重くなりました。
目標額固定型は、毎月「今月の入金額」という宿題を出してきます。
出費が重なった月は、目標との差を見ながら入金額を削る判断が要る。
余裕のある月は、多めに入れるかどうかをまた考える。
どちらに転んでも、考える工程だけは必ず残ります。
考えるのが面倒になると入金が後回しになり、後回しが続くと計画そのものが崩れていきます。
真面目に設計したはずの枠が、真面目さを毎月要求してくる状態でした。
フロー型への転換:式はひとつだけ
そこで特別費の枠を「フロー型」に変えました。
式はひとつです。
毎月の収入 − 毎月の生活費 − NISA積立(月5万円) = 残りを特別費口座へ
この式の「毎月の生活費」は、私の場合8ヶ月平均で約28万円です。
内訳は次の記事にまとめています。
→ 一人暮らしの生活費の内訳|40代独身が8ヶ月測った実額は月約28万円


毎月やることは、残った額をそのまま特別費口座へ移すだけ。
いくら貯めるかを考える工程が消えました。
収入が多い月は多く入り、少ない月は少なく入る。
それでいいと割り切ったら、入金が止まらなくなりました。
「いくら貯めるか」を毎月考える方式から、考えなくても自動的に振り分かる方式への転換です。
何を特別費として数え、どう貯めるか。
この枠の考え方は、別の記事で詳しく書きました。
→ 特別費は毎月いくら必要?一人暮らしの一覧表と挫折しない貯め方
最初の設計は変わってよい
設計を変えたことを、失敗だとは思っていません。
目標額固定型は、目標がはっきりしている人には合理的な方式です。
ただ、私には毎月の判断が続かなかった。
それが1年使って分かった事実です。



考えることを減らしたら、勝手に貯まるようになった
最初の設計は変わってよくて、変えた後のほうが続きます。
設計を守り抜くことより、続く形へ直すことのほうが、貯金では大事でした。
目的別口座のデメリット:1年使って感じた注意点
1年使って不便だと感じた点は、はっきりひとつです。
目的別口座からは、ATMや振込で直接お金を出せません。
使うときはアプリで代表口座へ振り替えてから、というひと手間が必ず入ります。
急な出費の場面では、この一段が面倒に感じられるはずです。
仕様として、あわせて覚えておきたい点が2つあります。
目的別口座は独立した口座番号を持たないため、外部からの振込を直接受け取れません。
公共料金やクレジットカードの引き落とし口座にも指定できません。
つまり目的別口座は、支払いの口座ではなく保管の口座と割り切る必要があります。
対処は、実のところシンプルです。
振り替えはアプリの操作だけで完結し、手数料もかかりません。
急な出費でも、アプリで代表口座へ戻せば、その場で使える状態になります。
ひと手間は消えませんが、ひと手間で済む、とも言えます。
「すぐ出せない」は守りに反転する
ただ、1年使った私の結論では、このひと手間こそが目的別口座の価値でした。
代表口座にあるお金は、デビットやATMですぐ使えてしまいます。
すぐ使える場所にある貯金を守るのは、結局のところ意思の力です。
そして意思の力は、疲れている日ほど当てになりません。
目的別口座へ移した時点で、そのお金は「一度立ち止まらないと使えないお金」になります。
立ち止まるひと手間が、使いすぎへのブレーキとして勝手に働いてくれる。



出しにくいから、守れている
意思の力ではなく、仕組みの側に貯金を守らせる。
点検してくれる同居人がいない一人分の家計には、この設計が合っていました。
商号変更後も変わらない使い心地と次のアクション
2026年8月現在、住信SBIネット銀行はドコモSMTBネット銀行へ商号変更しています。
私は開設からちょうど1年でこの変更をまたぎましたが、目的別口座の使い心地は変わっていません。
3枠の設定も、フロー型の振替も、アプリの操作もそのままです。
商号が変わっても、口座の中身と使い方は変わっていませんでした。
商号変更で何が変わったかは、ドコモSMTBネット銀行に商号変更|何が変わった?改悪は?にまとめています。
これから始めるなら、枠の数は少なくて構いません。
私も3枠だけです。
10個まで作れる機能ですが、枠が増えるほど、毎月見る場所も増えます。
自分が見て苦にならない数から始めて、足りなければ増やす。
その順番のほうが続くはずです。
仕分けの次にやってよかったのは、分けたお金の全体像を家計簿アプリで見えるようにしたことでした。
口座の中で枠を分けるのが目的別口座、分けた結果をひとつの画面で一覧にするのが家計簿アプリ、という分担です。
私はマネーフォワードMEを使っています。
使い方と感じたことは、マネーフォワードのプレミアムは無駄?1年払った私の分かれ目に書いています。
まとめ|貯金は意思の力ではなく仕組みで守る
1年使った目的別口座の要点を、最後に振り返ります。
- 枠は3つだけ(生活防衛資金・特別費・投資用資金)。役割が違えば動き方も違い、分けるだけで家計の見通しが変わる
- 特別費は目標額固定型からフロー型へ見直した。毎月考える工程を消したら、入金が止まらなくなった
- 直接出せない不便は、裏返せば使いすぎを止めるブレーキになる
完璧な設計を最初から作る必要はありません。
私も途中で変えて、変えた後のほうが続いています。
まずは枠をひとつ、生活費と分けたいお金の置き場所を作るところから始めれば十分です。
仕組みに任せた貯金は、あなたが疲れている日も勝手に続いてくれます。
一人分の家計は、自分ひとりで頑張るものだと思っていました。
いまは、口座に半分任せています。










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